放射線治療は手術や抗がん剤治療と並び、がん治療三本柱のひとつです。全身への負担が小さいため、ご高齢の方や全身状態の悪い方にも適した治療法で、根治を望めない段階の患者様でも、一部の病変のみを治療することによって症状緩和可能となる場合も少なくありません。放射線治療はがんの初期から末期まで、さまざまな段階に対応可能な治療法であるといえます。
サイバーナイフも放射線治療装置のひとつではありますが、他の一般的な放射線治療装置と較べると、精度よく病変を狙い撃ちすることができるとともに、正常な組織に当たる放射線を弱くすることができます。そのため治療効果をそのままに副作用だけを軽減させたり、逆に副作用を強くせずに治療効果を高めたりすることができます。
精密機械工学やコンピュータ技術の進歩に伴い、放射線治療の世界でも新しい高性能治療装置が次々に出現しています。これらをすべて把握し、患者様ごとに最適な放射線治療法を選択するのは、もはや私たち放射線治療専門医でなければ困難であるといってよいでしょう。当院は日本海側で唯一のサイバーナイフ施設ですので、富山県内をはじめ、隣県のおもな拠点病院や開業医の先生方と連携し、がん治療の一翼を担うべくがんばっています。
がんに対する放射線治療の技術革新は近年めざましく、最新の放射線治療を提供するため、平成20年4月国内で18番目、日本海側では初めてとなるサイバーナイフ治療施設「富山サイバーナイフセンター」を開設しました。脳腫瘍、頭頸部腫瘍に対する放射線治療のほか、平成24年6月からは、肺がんや肝臓がん、すい臓がん、前立腺がんなど全身に対する放射線治療が可能となりました。
サイバーナイフはピンポイントで病巣をターゲティングし、呼吸移動など患者さんの動きに同期させて照射できるため、正常組織への被爆を極限まで回避した最先端の優れた放射線治療装置です。
欧米では7割近くのがん患者さんが放射線治療を受けていますが、日本ではがん治療の役割として、手術や化学療法に較べ、放射線治療は小さく思われがちでした。近年、放射線治療を必要とするがん患者さんは年々増加しております。富山サイバーナイフセンターをより身近な放射線治療施設としてご利用いただければ幸いです。