脳神経外科部長 増田 良一
平成18年度から平成22年度までの間に、藤聖会の3施設合わせて約2,159件の脳ドック検査を実施しました。
平成18年7月に女性クリニックWe富山開設、平成20年3月に五福脳神経外科開設、平成22年7月に八尾総合病院に最新型1.5T MRI装置を導入したことにより、脳ドックを受診される方が増えてきました。
そこで、この3年間での脳ドック検査実績を報告させていただきます。
脳ドックを受診された方の中には、次のような病気が発見されました。
脳ドックで病気が発見された場合は脳神経外科を受診し、詳しい検査を行ってください。
中大脳動脈に動脈瘤が見つかり、3D-CTA検査を行いました。検査の結果、経過観察となりました。
頚部の椎骨動脈の狭窄が見つかり、3D-CTA検査を行いました。検査の結果、経過観察となりました。
●3D-CTA検査
造影剤という薬を急速注入後にCT撮影し、血管の流れを撮影することにより動脈瘤や動脈狭窄のような血管の病変を詳しく検査します。
脳腫瘍が疑われ、造影剤を使用して詳しく検査をしました。検査の結果、髄膜腫(良性脳腫瘍)と診断され、放射線治療を行いました。
頭部MRI・MRA検査で副鼻腔腫瘍が疑われ、耳鼻科受診を勧めました。
八尾総合病院、五福脳神経外科、女性クリニックWe富山において、平成20年3月~平成22年7月の間に脳ドックを受診された方々の検査結果をまとめて発見率を出しました。
脳ドック受診者全体の発見率を見てみると、約50%の方に大脳白質病変が見受けられました。
年齢別に結果を分析してみると、大脳白質病変、ラクナ梗塞、動脈狭窄は年齢が高くなるにつれて発見率も高くなっていることがわかります。
また、脳動脈瘤や脳腫瘍の発見率は各世代間で大きな差がないことがわかりました。
今回、藤聖会で実施された脳ドックの結果をまとめました。
年齢が低くても、脳卒中の家族歴、高血圧、糖尿病、喫煙などの脳卒中の危険因子を持っている方は、持っていない同じ年齢の方と比較すると注意が必要になります。
また、大脳白質病変やラクナ梗塞などの無症状の小さな脳卒中が発見された場合は、それらの病変の原因となる病気(心臓の病気、高血圧や糖尿病など脳卒中の危険因子)がないかを調べたり、それらの予防・治療を行う必要があると思います。
脳神経外科部長 増田 良一
編集:診療放射線技師 棚田 真理子