サイバーナイフは、放射線発生装置を6軸可動ロボットに搭載することにより、病巣に向かって多方向から細い高エネルギーエックス線を照射し、外科的手術と同様にあたかもナイフで切ったように正確に治療できる最先端放射線治療装置です。目標とする病巣に対して多方向から集中的に放射線を照射することにより、一般的な放射線治療よりも周囲の正常組織への放射線量をおさえて治療することができます。この装置では、病巣の位置情報を2方向からの透視装置によりほぼリアルタイムに収集し、ロボットが自動的に位置ずれを補正することにより、常に正確に病巣を照射することができます。
サイバーナイフは1990年代にアメリカのスタンフォード大学において、脳腫瘍の治療を目的に開発され、その後様々な機能向上が図られてきました。当院の装置は第4世代のもので、これは日本における最新の装置です。当初は脳腫瘍の治療が主体であったサイバーナイフですが、徐々に全身に適応が拡大され、現在では世界におけるサイバーナイフ治療の半数以上が脳以外の治療となっています。日本では2008年に体幹部も治療も可能な装置が導入され、肺、肝臓、胸椎から仙骨部の脊椎病変や膵臓、前立腺などの治療が可能となりました。
サイバーナイフシステムは、リニアック・マニピュレータ・X線撮影システム・ロボット制御寝台で構成され、相互に監視・制御を行いながら動作します。
治療中は随時、2方向のX線画像を取得し、治療計画用CT画像から再構成して得るDRR画像と照合し病変部の正確な位置情報を算出します。この位置情報を基にマニピュレータが病変部の位置ずれに対し照射位置補正を行うため、常にリニアックから発生する高エネルギーX線が病巣を高精度に捕らえることが可能です。これを追尾照射といいます。
6MVのX線を毎分800MU照射可能な高エネルギー放射線発生装置。照射筒には12種類の固定式コリメータ(5mm~60mm)と可変式コリメータを装着可能です。
6つの回転軸をもち、反復動作精度が±0.2mm の工業用ロボット。100通り以上の照射座標を持ち、各々から12方向に先端を振れるため様々な照射体勢がとれます。
天井側 2台のX線カメラと床側 2台のX線受像器(フラットパネルディテクター)で構成。20×20 cm (512×512pixel) の高精細X線画像を取得します。取得した画像と、事前に治療計画用CT画像から作成されたDRR画像との比較を行い病変部の位置ずれ解析を行います。
ロボットアーム制御により寝台を 0.1mm, 0.1度単位で並進・回転移動させることが可能です。
体表に装着するLED光の動きを捉え、呼吸位相を取得します。(呼吸追尾照射時に使用)
サイバーナイフは頭頚部・脊椎・肺・肝臓・前立腺など、治療部位に合わせた様々な追尾システムを搭載しています。追尾システムには以下のようなものがあります。